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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2013/05/01

司雑記—1 二つの「ことば」―情報共有と即時一報

アートプロジェクトを始めるに当たり、いろいろと想起し、プランを錬る。具体化を自分一人で始めてみる。金策、場所の確保、スタッフの確保、どこから着手するにしても想いを伝える「ことば」が必要となる。
手伝ってくれるアシスタントが見つかり、事を進めて行く。期が熟してくると、共に動いてくれる仲間で座を組む、チームビルディングが必要になってくる。そして、新しい仲間とチームとしてのタスク、ミッションを共有するための「ことば」が必要となってくる。この段階で必要な「ことば」は、情熱を帯びた、夢や理想がたっぷりと含まれたビジョンを語る「ことば」だ。人はこの「ことば」につき動かれさる。いわゆるリーダーに求められる「ことば」だ。

その一方で、チームが一丸となり実務にあたるために必要な、もう一つの「ことば」がある。現場が混乱しないために、このタイプの「ことば」を、僕は「情報」と呼んでいる。情報として必要とするのは「事実」であり、「認識」である。想いや憶測を含んだ言葉は危険を招く。「事実」と「憶測」が区分された情報から状況が浮かび上がってくるからだ。

さて、そこで「情報」の「共有」である。今更ながらの「報告・連絡・相談」の重要性の確認なのだが、チームとして動くための必須の所作だ。しかし、一人ですることに慣れていて、自分で処理、対応したほうが早いと思えてしまうことが、「ほうれんそう」の回数を激減させる。
慣れないと「ほうれんそう」のタイミングをはかるのが難しい。折を見て!と思っている間に事は進み、外すことになる。一番簡単なのは、思い立った時がタイミングと思うことだ。「いつか?」と問われれば、今、流行のフレーズ通り「いまでしょ!」となる。これを僕は「即時一報」と言っている。事実・事態の共有である。最初の気づきの段階で状況を共有する。現場での一日が終わった後、スタッフ間で「今日の気づき」を共有し、改善を探ることが多いと思うが、これと同じだ。

そして一番難しいのが、情報を共有する相手を「誰」とする(見定める)ことだろう。それぞれの立場で「共有相手」は異なるし、チーム外の人たちとの情報共有は、丁寧にしないと誤解や不信を招くことにもなる。
とはいえ、新しい企画、新しい方法、新しい事務の仕方を「情報共有」を通じて獲得できると思っている。アートプロジェクトの現場は、まだまだ進化する余地にあふれているからだ。
そのような小さな気づきの共有として、アートポイント計画のプログラムオフィサー6人が現場で感じたこと考えたことを毎月5・10日にアップする「POD通信」の連載を始めます。

東京アートポイント計画 ディレクター 森司

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