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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2013/08/23

坂本POレポート 現場をひらく(4)

東京アートポイント計画は、“アートイベント”を実施する/支援する事業ではなく、アートプロジェクトや、アートプロジェクトを支える活動が社会の中で「常態」として存在するための環境を作り出すこと、またそのことにおける価値を提示すること、を目指し、それらを担う人々の支援をおこなっています。

アートNPOと“共催”というかたちで事業を展開していますが、それはまちなかでのアートプログラムを共につくるということだけが目的ではなく、より重点を置いているのは、プログラムを生み出し、実施運営できる母体、つまり事務局を形成するという取り組み。それゆえ、アートポイント計画は通年事業が多かったり、ウェブサイトのイベント情報は動きが少なかったり、実体がみえづらかったりします…。

こんなプログラムやあんな活動が“あったらいいな”という思いを形にして実現できるチーム、それが事務局であると考えています。プロジェクトは、表舞台に立つアーティスト達の存在だけでは成立しません。その裏で、適正な事業計画をたて、資金調達をしたり、交渉をしたり、進行管理をしたり、関係者間の調整をしたり、必要機材や場所の確保をしたり、広報したり、現場において良い空気感をつくり出したり、活動の意義を唱えたり…等々をする人々の存在が不可欠。

アートポイント計画の育成対象事業のみなさんとは、そのような事務局業務を円滑に遂行できるようになるため、定例会議や現場づくりを通じたトレーニングを進めています。

例えば、事業を進めていく上でとても重要となる情報共有については念入りにおこなっています。関係者間で事業計画のイメージ共有を図るのは、実施に向けた第一歩ですが、事務局内ではツーカーで伝わることや、自分たちにとっては当たり前のこと、について言語化し、相手に伝える、ということがなかなか難しいということもあるよう。そのようなケースでは、まずどのような事柄が、プロジェクトを進めるにあたり、他者と共有すべき情報なのかを認識する、というところからスタートをしたりもします。

定例会議において事業計画を確認する際のマストアイテム4点セット―事業計画書、予算書、体制表、スケジュール。それらの書類が、必要情報を確認するツールとなります。その書類をつくることを通し、計画を実施するには、いくら、何人、何日必要で、といった数値化された情報が洗い出され、またその手配や調整が済んでいるかの状況を確認することによって、いかに身体性のある計画であるかを検証します。

計画自体を言葉に出してプレゼンすることが不得意だったり、言葉には出来るのだけど、それを書類にまとめるのが苦手だったり、それぞれの課題は様々。しかし、良い企画であればあるほど、伝え下手や情報共有不足はとても損。社会性のあるプロジェクトに仕立てあげるため、どのように改善しスキルアップさせていかれるのか、各プログラムオフィサー、団体のみなさんと日々奮闘中です。

得意分野を持ち、かつ安定した事務局運営のできるスキルフルチームが多く存在し、アート活動がより社会に根差し、必要とされていくよう、引き続き環境整備にはげみます。

東京アートポイント計画プログラムオフィサー 坂本有理

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